ホストクラブは女性に夢を与えてくれる素敵な場所です。
ただ、時々トラブルが起こってしまう事もあります。
その内容として多いのは、「売掛」です。
そこでこの記事では、売掛とは一体何なのか、時効はあるのか、支払わないとどうなるのかということについて、詳しく解説していきます。
Contents
ホストクラブの売掛ってそもそも何?立て替えているのは誰?

売掛というのは、簡単に言ってしまうとツケ払いのことを指します。
では、その日の代金は一体だれが立て替えるのでしょうか。
お店
お客さんの売掛を一旦店が負担することもあります。
ただし、近年では店側が代金を立て替えるケースが少なくなっています。
その理由は、飛ばれてしまう事が多いからです。
こう聞くと、
「売掛を支払わないのは無銭飲食と一緒じゃないの?」
と思う人もいるはずです。
しかし、今回のテーマでもある「売掛の時効」によって、売掛を払わなくても法律上問題なくなることもあるのです。
担当のホスト
近年では、このパターンが主流となっています。
お店が一旦代金を負担してしまうと、女性はしらばっくれることが多いです。
しかし、担当への売掛であれば、
「ちゃんと払わなきゃ」
という心理が働きますので、売り掛けを払ってもらいやすくなるのです。
もし支払われなかったら?
仮に決められた日に女性からの支払いがなかった場合、一体どうなってしまうのでしょうか。
結論から言ってしまうと、この場合は、ホストの給料から引き落とされることが多いです。
そのため、最近では売掛を一切しないというホストも増えてきているのです。

ホストの売掛に時効はある?

次に、ホストの売掛に時効はあるのかということについて、詳しく見ていきましょう。
これは、誰に立て替えて貰っているかによっても変わってきますので、しっかり確認しておくことをおすすめします。
ホストクラブに対しての売掛
ホストクラブに対して売掛がある場合、つまり、お店が代金を立て替えてくれている場合は、
・売掛の請求日から5年経過
・返済の意思表示から5年経過
という条件を満たすことで、時効が成立します。
つまり、それ以降は返済の義務が生じなくなるという事です。
ただし、5年が経過していないタイミングで再度請求をされた場合、その日から5年後が売掛の時効になりますので、注意が必要です。
担当ホストに対しての売掛
この場合もお店への売掛と同じで、5年が時効の期限となります。
ネットなどを見ると、
「ホストへの売掛に対する時効は10年」
というようなサイトがありますが、これは民法が改正される前の情報ですので、混同しないようにしてください。
借用書の有無
ホストクラブあるいは、担当ホストに代金を一旦負担してもらう場合、基本的には借用書を作成することになります。
しかし、中には口約束のみで売掛をしてしまうホストやお店があります。
この場合は、売掛があるという事を証明できない可能性もあり、法的には支払いの義務が生じないこともあるのです。

売掛を払わないとどうなる?請求無効になるケースも

中には売掛を支払わず、飛んでしまう人もいます。
では、仮にホストへの売掛を支払わないと一体どうなってしまうのでしょうか。
少額なら何事もなく終わるケースもある
少額の売掛であれば、お店もホストもそこまで執着してこないことがあります。
なぜなら、少額の売掛回収に労力を使うよりも、他のお客さんで売り上げを作る方が効率的だからです。
その代わり、そのホストとは連絡を取れなくなりますし、そのお店には二度と行けなくなることを覚悟しておきましょう。
ホストから取り立てられる
ある程度まとまった売り掛けの場合、担当ホストから、
「支払ってくれ」
と催促されることが多いです。
この場合は、ラインや電話などの連絡手段を用いて返済を要求してくることがほとんどですが、場合によっては、ホストが家まで来る可能性もあります。
法的手段を取られることもある
売掛の返済を求められているのにもかかわらず、支払いを行わなかった場合、お店やホストから内容証明が送られてくることがあります。
この内容証明には、何の法的効力もありませんが、それでも支払わなかった場合、裁判を起こされる可能性もあるのです。
場合によっては恐ろしい手段を取られることも
ホストへの売掛を放置してしまうと、執拗な嫌がらせや脅迫をされてしまうこともあります。
また、このような状態をさらに放置すると、刑事事件に発展してしまうこともありますので、できるだけ売掛は早めに返済することをおすすめします。
売掛返済義務が生じない例(無効になるケース)
過去に実際にあった例を紹介します。
東京地裁の平成24年7月5日判決は,ホストクラブに勤務する者(原告)がホストクラブから,客(被告)に対する飲食代金請求権の譲渡を受けたとして478万円を請求した事案です。
この事案では,裁判所は,ホストクラブにおける売上成績の向上のため,被告に対し,ホストクラブへの来店を求めるようになった上,被告がこれを断ると,原告は,被告に対し,ホストクラブの内外や被告の自宅などにおいて,激しく殴るなどの暴力を振るっていた事案でした。
ホストクラブにおいてしたとされている飲食物の注文は,ホスト側によって日常的にされていた暴力や脅し,稼働の強要等を背景としてされたものといわざるを得ないと認定しました。その結果,被告が飲食代相当額の支払い義務を負うものではないとしました。
つまり、日常的な脅しや暴力が原因で売掛を作ってしまった場合は、この請求は無効になる場合があります。

まとめ
ホストやお店への売掛は、原則5年で時効が成立します。
少額の売掛であれば、店もホストも仕方なく諦める可能性がありますが、かなりまとまった売り掛けの場合は、執念深く請求してくることが多いです。
また、借用書を交わしている場合は、支払い義務が生じていますので、
「しらばっくれようかな」
という考えは起こさず、しっかりと支払うことをおすすめします。
脅しや、暴力被害でお悩みの方は弁護士事務所などに相談するのも一つの手段です。